椎名林檎の新曲"獣ゆく細道"と勝手なエゴイズム
秋も始まる今日に、ツアー直前に突然の貴賓が現れた。
■ついに現る、椎名林檎の新曲
椎名林檎がnews zeroのテーマソングとして新曲”獣ゆく細道”を書き下ろした事が発表された。
椎名林檎の新曲が「news zero」テーマ曲に、初共演となるコラボ相手は10月1日放送回で(コメントあり) - 音楽ナタリー
本人は、今回は番組視聴者に残される後味を重んじ、現実社会で戦う視聴者が迎える夜明けを想像しながら同曲を書き上げたという。
そして今回はコラボ曲。
コラボの経緯について彼女は「こうしてアイデンティティを持ち始めた曲が、或る詩人の筆致を求めていることに、私はじき気付きました。その人物がこれまで発して来たメッセージを、この曲の中で一度、私なりに要約できないだろうかと考えたのです。そのうえ、一緒に唄ってもらえたらどんなによいだろう、とも」と説明している。
言葉が全力で椎名林檎。
何はともあれ、椎名林檎が新曲を発表する。その事実で震えた。
ああ。でもコラボでタイアップか。
嬉しい気持ちとそうでない気持ちと入り乱れてた。
きっと求めているような感じて無いのでは無いかと。
■高まる椎名林檎としてのキャリアと感性
最近の椎名林檎はタイアップやコラボなんぞが多く見える。
いや、厳密には昔からタイアップはよく付くのだが。
仕上がった曲をCMに使われるのではなく、『この自体・イベントの為の曲を作って欲しい』という後者の依頼が増えた気がする。
体感的には2014年のNHKサッカー中継テーマ音楽からそのような事が増えた気がする。記憶に新しい目抜き通りもGINZA SIXありきの曲だ。
これは、私は“音楽家”であり『ユーザーを求めるものを作ります』アピールを感じ、商業的でビジネス的な匂いも感じる。
もともと、裏方に回りたい。なんていう彼女にとって望んでいた仕事なのであろう。
他アーティストへ楽曲の提供も沢山してるし(そして自分でセルフカバーしちゃう天邪鬼っぷり)、椎名林檎として歌って欲しいけど内容は指定されるような楽曲の依頼も増えて来ている。
確実に、歌手という枠だけでなく音楽家へとのキャリアップをはかっている。
そしてオリンピックの楽曲も関わる。華々しいキャリアアップだ。間違いなく百道浜を飛びだした椎名林檎が正しくなってる。
一国の一代表まで進んでいる。
■只々、ナンセンスなエゴイズム
椎名林檎が新曲を出すというだけで本来なら心底喜ぶはずなのに、素直に喜べない。
普通に椎名林檎が椎名林檎による椎名林檎の為の新曲出してくれよ…タイアップもコラボもいらないくて、自分の経験をもとにしてるような曲。そういうの求めてる…静かなる逆襲とか正しい街とかそういう椎名の曲…。
— yung (@yunglog0) September 27, 2018
正しい街、モルヒネ、彼女を前にして、オルゴール、メロウ、依存症、病床パブリック、月に負け犬、意識、愛妻家の朝食、静かなる逆襲・・・あげればキリがないが。
椎名林檎が経験の元に書いたり、当時の美意識や感性で生まれる曲こそが彼女のもっとも美しいと思うから。
不安定で、世の中の不条理を唱え、中指立ててる椎名林檎がとても魅力的で。
だがしかし、不安定で荒々しい椎名林檎は彼女が10~20代だからこそ活きるものであり、今の椎名林檎に求めるなんてお門違いも良いところ。
仮に今の39歳の椎名林檎のキャリアや感性で”荒々しいく不安定な椎名林檎”を求めるのはナンセンス。
そんなことは充分頭ではわかっている。でも求めてしまう。
わかっているという理性と期待してします欲が入り混じるループを繰り返す。
そのキャリアや年齢で当時の歌詞の様なまま進めないだろう。
仮にあのまま、感性が進化しなかったらオリンピックの仕事なんて来ていないだろう。歌手活動も続いていたかどうかわからない。上手に繊細かつ大胆に変化した椎名林檎だから今のキャリアがある。
そしてもちろんNIPPONや目抜き通りを批判する訳ではないし。
きっちり椎名林檎らしさの残りつつも、しっかりタイアップ感も出ている。素晴らしい仕事人。
だからこそ今でも活動が続いているのだろう。
■今後も見続けるであろう彼女の姿
これはもう呪い。
椎名林檎のことが好きで活動しいる限り追い続けるであろう。
しかし、過去の荒々しい椎名林檎の亡霊を夢見る勝手なエゴイズムである。
不安定な椎名林檎こそ、美しいだなんて2018年の今日に思うことじゃない。
それでも彼女の活動に期待してしまう。また当時の様に心から震え上がるような何かをしてくれるのではないかなと。果物の部屋を静かなる逆襲として蘇らせ、日出処のような椎名林檎全開の作品が出ることを。
そんな僅かな期待を今回の新曲にも願いをかけている。
オルゴールとか光合成とかリメイクしないかな。
今の椎名林檎の感性で。